停車駅は伊賀上野
2011.10.20
停車駅は伊賀上野。忍者と芭蕉生誕の地として有名だが、関西本線の駅は町の中心から相当離れていて不便そうだ。それでも何人もの乗客が降りていく。近鉄電車に乗り換えれば街の中心へは行ける。伊賀上野を出れば次は終点の奈良。ただし、まだ四〇分先の話だ。とうとう私の席には誰も乗ってこなかった。列車はまたしても緑豊かな山の中を走っていく。エンジン音を軽やかに響かせながら、少しでも遅れをと旦戻そうと必死だ。島ヶ原、月ヶ瀬口、大河原と坦々とたどっていく。どの駅も長いホームに複線かと見まごうくらいに長い待避線。待ち合わせの対向列車は小ぶりのディーゼルカーニ両編成なので、大広間に子犬が一匹ぽつんと座っているような感じだ。由緒ある落日の旧家を何軒も通り過ぎていく趣すらある。綺麗な渓流をかなり高い鉄橋で渡る。このあとしばらくはこの川の流れに沿って走る。木津川の渓谷である。水量もまあまあで車窓からの眺めも見ごたえがある。ところどころ短いトンネルや岩山で景色が遮られるが、見飽きることがない。前もって知らなかった絶景だけに、目が離せなくなった。笠置を通過してもなお渓谷は続く。ようやく渓谷と別れ左へ大きくカーブしていくと加茂を通過する。ここで、今までのどこかさびしげな、うらぶれた鉄道情景とはがらりと雰囲気が変わる。
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